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2011.06.07

ワークショップ Ⅱ「人と動物の絆 Human Animal Bond タイガープレイスと日本における代表的なアニマルセラピーの活動発表」

 

 

人と動物の絆.Human Animal Bond タイガープレイスと日本における代表的なアニマルセラピーの活動発表
ワークショップ主催者挨拶:公益社団法人日本動物病院福祉協会

公益社団法人日本動物病院福祉協会(JAHA=Japanese Animal Hospital Association)は、1978年1月に日本動物病院協会として設立され、1987年11月に社団法人日本動物病院として厚生省(現在の厚生労働省)より許可を受け、その後、2009年5月に内閣府から公益法人として認定され現在に至っています。人と動物の間に存在する絆を守り、維持するための動物医療を実践することで社会貢献する動物病院の協会で、具体的に次の公益目的事業を行っています。
・動物病院及び動物医療の充実のための継続教育事業
・動物病院及び動物医療に関わる専門職等の資格付与関連事業
・動物病院による地域社会への貢献を推進する事業
・アニマルセラピー(CAPP訪問活動)推進のための事業
・アニマルセラピーに関する調査研究事業

人と動物のふれあい活動は上記5つの公益目的事業のうち、アニマルセラピー(CAPP訪問活動)推進のための事業として実施しています。この活動は1986年5月から実施され、現在までの活動延べ回数は約13,000回となっています。
活動内容は、目的により次の3つのカテゴリーに分けることができます。

動物介在活動 Animal Assisted Activity
動物とふれあうことによる情緒的な安定、レクリエーション、QOL(生活の質)の向上等を主な目的としたふれあい活動。JAHAの多くの活動はこのカテゴリーに属します。

動物介在療法 Animal Assisted Therapy
人間の医療現場で、専門的な治療行為として行われる動物を介在させた補助療法。医療従事者の主導で実施します。精神的身体的機能、社会的機能の向上等、治療を受ける人に合わせた治療目標を設定し、適切な動物とボランティア(ハンドラー)を選択、治療後は、治療効果の評価を行います。

動物介在教育 Animal Assisted Education
小学校等に動物と共に訪問し、正しい動物とのふれあい方や命の大切さを子どもたちに学んでもらうための活動。生活科や総合学習などのプログラムとして取り入れる学校もあります。

座長メッセージ

戸塚裕久氏
公益社団法人日本動物病院福祉協会(JAHA) CAPP 委員長

東日本大震災以降、絆という言葉をとてもよく見聞きするようになりました。公益社団法人日本動物病院福祉協会(JAHA)は、ヒューマン・アニマル・ボンドの理念を大切に、人と動物がより良い関係で共生できる社会の
実現を目指して活動しています。
犬や猫、小鳥などのペットと一緒に過ごすとき、私達は心から安らぎを覚え、心身ともにリラックスし、健康が増進されることが分かってきました。これは人と動物の絆(HAB)に由来する相互作用によるものなのです。
JAHAは1978年に設立し、1986年から「人と動物のふれあい活動」(CAPP=Companion Animal Partnership Program)を開始しました。
2009年公益社団法人となり、公益目的事業としてアニマルセラピー(CAPPボランティア活動)推進のための事業を行なっています。本会では、この活動をその目的により次の3つに大別しています。
・動物介在活動(AAA/Animal Assisted Activity)
動物とふれあうことによる情緒的な安定、レクリエーション、QOLの向上等を
主な目的としたふれあい活動で、一般的にアニマルセラピーと呼ばれる活動の多くはこのタイプです。
・動物介在療法(AAT/Animal Assisted Therapy)
人間の医療の現場で、専門的な治療行為として行なわれる動物を介在させた補助療法で、医療従事者の主導で実施します。精神的、身体的、社会的機能の向上など、治療を受ける人に合わせた治療目標を設定し、適切な動物とボランティア(ハンドラー)を選択する。治療後は治療効果の判定を行います。
・動物介在教育(AAE/Animal Assisted Education)
小学校に動物とともに訪問し、動物との正しいふれあい方や命の大切さを子どもたちに学んでもらうための活動です。生活科や総合学習などのプログラムとして取り入れる学校も徐々に増えています。

このワークショップで、皆様に人と動物のふれあい活動(CAPP)に対する理解を深めていただければ幸いです。
どうぞ皆さん、CAPP活動に参加して下さい。

 

 

 

 

タイガープレイス:ペットと年齢を重ねていける素敵な場所
レベッカ A.ジョンソン/ミズーリ大学獣医学部 ヒューマンアニマルインターアクション研究所(ReCHAI) 所長
IAHAIO(人と動物の関係に関する国際組織) 会長

 

 

ペットの飼い主を対象とした多くの研究で、高齢の人々にとってペットと過ごすことは、健康にも幸福にも有益であるということが示されています。ペットは無償の愛と社会的サポート、朝起きることの理由、年を取って困難の増える日常生活の中で別の目的を与えてくれるものです。これらの研究結果はこのミズーリ大学シンクレア看護学校が設立した高齢者向け住居の特色の元となっています。

「タイガープレイス」はペットを奨励している高齢者向け住宅です。「タイガープレイス」のモデルになっているのは「エイジング イン プレイス」です。この住宅モデルは、高齢者が介助や介護、または両方が必要となったときに入居するものです。目的はできるだけ長く自立の機能を保持させることにあります。入居者はタイガープレイスの集合住宅に入り、月額の家賃を支払うことで、清掃などとサービスと一日に2食の食事を受けることができます。またソーシャルプログラム(社交活動プログラム)も準備されています。ここの高齢者はたとえ介護度が増しても、再び引越しを繰り返さなくても済むのです。なぜならそこで追加の介護がその集合住宅で受けられるからです。
ペットを飼うことは強制ではないが、世話をする能力のある人にはペットを飼うことを奨励しています。「タイガープレイス ペット イニシアチブ(TiPPI) 」がペットの入手や世話の手伝いを提供してくれます。「PAWSitive」(Pawsは 動物の足のことであり、これでポジティブ=前向き、という意味)が毎週、動物を連れての訪問を行い、住居者は毎回違った種類の動物と触れ合うことができるようになっています。住居者は短いセミナーを受け、その週に訪問している動物の種類について学ぶことができます。タイガープレイスに入居している飼い主に飼われているペットは、毎月獣医の訪問を受けます。建物内には獣医が動物のメディカル検査などができる設備が整っており、簡単な 措置を施すことができるようになっています。
タイガープレイスは、看護や医学、獣医学、理学療法や作業療法、工学、社会福祉などを学んでいる多くのミズーリ州立大学の学生にとって実習の場であり、ユニークな学習の機会を提供しています。

<第2部>
人と動物のふれあい活動(CAPP)に関する発表
日本動物病院福祉協会(JAHA)で推進しています人と動物のふれあい活動(CAPP)について、総論および大別される3種の活動形態についてそれぞれ発表を行います。
1.「CAPP活動 総論」 公益社団法人日本動物病院福祉協会 CAPP委員長 戸塚裕久
2.「動物介在活動(AAA)に関する発表」 特別養護老人ホームきしろ荘 施設長 種稲憲太郎
3.「動物介在療法(AAT)に関する発表」 社会福祉法人信愛報恩会 信愛病院 福田美穂
4.「動物介在教育(AAE)に関する発表」 公益社団法人日本動物病院福祉協会 顧問 柴内裕子